『 8月のソーダ水 』は、フルカラーマンガ作品集。
2013年5月に第1刷が発行され、2024年7月には第14刷が発行されています。
この本を読もうと思ったきっかけは、いますぐ「ときめき」が欲しかったからです!
小説を1冊読むにはエネルギー不足だし、映画を1本観るとなると時間に拘束されちゃうし…。
「そうだ、大人の絵本がいいな。」と思って探して見つけたのがこのマンガです。
なーんか、パッとしない気分を、ソーダ水を飲むみたいに洗い流したい。
そんな感じでこの本をジャケ買いしました。
『8月のソーダ水』
(コマツシンヤ、2013年、太田出版)
本のタイトルから想像するように、どこか懐かしく爽やかな気分を味わえる作品です。
その中にほんの少しだけ、夏休みのような静けさや、さめたくない夢の中にいるような切なさを感じられます。
- トキメキ度 ★★★★
- ゆるやか度 ★★★★★
- さわやか度 ★★★★★
『 8月のソーダ水 』 書籍の紹介
本作のレビューを読むと、
「爽やかな夏の色とにおいがギュッと詰まった一冊。どこか懐かしくて、心がほっこり。疲れた心を癒やしてくれました。」
「絵がとても可愛く、世界観も素敵です。どこか懐かしさも感じるオススメの漫画です!!」
と、絵や世界観に爽やかさや懐かしさを感じる読者が多いようです。
◆谷川俊太郎さん、推薦!
「コマツさんは詩のチルドレンと遊んでいます、
その国の住民はみんなとってもキュートです。」すべてがとても新鮮で、どこかとても懐かしい――
コマツシンヤが贈る、心ときめくフルカラーマンガ作品集!◆海辺の街に住む少女・海辺リサの周りは、いつも不思議で素敵なできごとがいっぱい。
浜辺に流れ着いたへんてこなバイオリン、うっかり空から落ちてきたゴーグルの少年、
蜃気楼の彼方に浮かぶ幻の都市……。
清涼なイメージがソーダ水のようにはじける表題作『8月のソーダ水』、そして「高知新聞」に連載されたナンセンスユーモアマンガ『うわのそらが丘より』を収録!(『8月のソーダ水』書籍の紹介より引用)
『 8月のソーダ水 』1分要約
『8月のソーダ水』は、海辺の街「翠曜岬(すいようみさき)」に暮らす少女・海辺リサを主人公にした、幻想的でどこか懐かしい短編漫画作品集です。
全編フルカラーで描かれる本作は、夏の海辺の爽やかな情景を青と白を基調とした可愛らしいイラストで表現しています。
物語は、リサの日常に訪れる不思議な人や出来事を通じて、現実と幻想が交錯する独特の世界観を紡ぎ出します。
たとえば、海の中の夢を見させてくれるビー玉や、空から降ってきたゴーグルをかけた少年との出会い、街がすっぽり海に覆われる海迎えの日など、一つ一つのエピソードが詩のようにリズミカルに展開されます。
詩人・谷川俊太郎氏が推薦する本作は、詩的な感性と柔らかなタッチで描かれており、読む人を夢のような世界へと誘います。
心を癒やす力を持つこの作品は、忙しい日常の中で一息つきたいときや、疲れた心をリフレッシュしたいときにぴったりです。
絵本のような温かみのある雰囲気が、大人にも子どもにも楽しめる一冊となっています。
リサが体験する奇妙で美しい出来事を通して、夏のひとときを特別な時間へと変えてくれる物語です。
著者 コマツシンヤさんについて
著者であるコマツシンヤさんは、漫画家、イラストレーターです。
1982年に高知県で生まれました。高知県には太平洋を一望できる透明な海「桂浜」や、エメラルドグリーンに輝く透き通った海「柏島」があります。
そんな場所で生まれ育った著者だからこそ描けるイラストなのでしょう。
小学2年生のころから漫画を描いていたとのことで、中学校時代から「高知新聞の」のコーナー「高新まんが道場」に投稿していたそうです。
マンガ大賞の受賞歴もあり、大阪や東京で個展を開催しています。
本作のゆるかやポイント
絵本のようなビジュアル
マンガでありながら、絵本のような柔らかで温もりを感じさせるイラストが印象的です。
特に、青と白を基調とした色使いは、夏の海辺の爽やかな情景を見事に描き出しています。
詩的な世界観
詩人・谷川俊太郎氏も推薦する本作は、詩のようなリズムと感性で物語が紡がれています。
読者は、リサとともに夢のような時間を過ごすことができます 。
癒しと懐かしさ
読者からは、「癒やされる」「ほのぼの」「エモい」といった感想が多く寄せられており、心が疲れたときや寝る前に読むのにぴったりの作品です 。
本作のお気に入りエピソード
『灯台の散歩』
『灯台の散歩』は、灯台が主人公リサのバイオリンの音色に感動し、意志をもって歩きだすところから始まります。
本作に象徴されるように、このエピソードも自由でキュートな発想で描かれています。
灯台のセリフや足音が可愛らしく表現されていて、「こんな灯台がいたらお友達になりたいな」と思いました。
オオ…
ナント素敵ナ
音色ダロウ…(『8月のソーダ水』より引用)
「ズムッ」っと歩き出した灯台の中から見える景色は徐々に変わっていき、黄色いひまわり畑やカルデラの湖を通り過ぎ、「白亜岬(はくあみさき)」まで来てしまいます。
灯台は明かりを灯す仕事があるため、日没までに「翠曜岬(すいようみさき)」に戻らなくてはなりません。
リサたちの天真爛漫さが引き立てる、灯台のお行儀の良さが、どこか愛おしさのようなものを感じさせます。
灯台に対して抱く無機質なイメージがガラリと変わりました。
『月の帰還』
『月の帰還』も、リサのバイオリン演奏から始まります。
バイオリンを弾くリサと、それを聞かされるお友達もな子のやり取りはどうやら定番のようです。
このエピソードの重要人物は、風のようにリサ達の前にあらわれた”シルリア”という女の子。リサ達より少しだけお姉さんのような感じがします。
じゃあ
教えてあげるから
ちょっとついてきて
あの艇に乗ってきたんだ
アポリナリスってとこからね(『8月のソーダ水』より引用)
彼女は、美しくて、強くて、不思議な力を持っていて、子供のころの私だったらとても憧れただろうな、というキャラクターです。
このエピソードを読んでいて気が付いたのですが、本作には子供と老人(おじいちゃん・おばあちゃん)しか出てきません。
そこがまた懐かしさやあたたかさを感じさせるのでしょうか。
海の深さや、空の近さ、そして多様な水の動きが、柔らかく美しいタッチで表現されていて、いつまでも眺めていたくなるおはなしでした。
読後レビュー
一息入れてお茶を飲むくらいの時間で、1つのエピソードを読み終えられるので、すでに3回ほど本作を読み返しています。
本当に1つ1つの絵が可愛くて、色彩も爽やかで、登場人物もみんな優しいので、寝る前に読むのもおすすめできます。
こんな世界がどこかに実在したらいいな、とか、この物語の中に入り込めたらいいな、とか思いましたが、この小さな本の中に閉じ込めておくのが、なんとなくしっくりくる気がしました。
第2巻が早く発売されることを祈っています。
コレクションしたいマンガ作品集でした。
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